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スティーヴ・エリクソンの「Xのアーチ」

Xのアーチ 日常
Xのアーチ
日常
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Xのアーチの評価

先日、トマス・ピンチョンの「重力の虹」を読んだので、そのトマス・ピンチョンが賛辞を贈ったスティーヴ・エリクソンの小説「Xのアーチ」について記載したいと思う。

トマス・ピンチョンも「その幻想力は精神をワープさせ、誠実さや完全無欠である。「Xのアーチ」はエリクソン文学の頂点だ。独立宣言以降のアメリカのいかなる文章にも増して大胆で、クレイジーで、パッションに満ちている」と賛辞を寄せている

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スティーヴ・エリクソン

1950年生まれ、カルフォルニア州生まれ

1972年UCLAの映画論、1973年にジャーナリズム論を修了。「ロサンゼルス・タイムズ」で映画批評を執筆している。

1985年に「彷徨う日々」で作家デビュー後「幻視の作家」として知られ、文学界で高い評価を得ている。作品は「Xのアーチ」「アムニジアスコープ」などがある。

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Xのアーチ

独立宣言を起案したアメリカ建国の父と言われるトマス・ジェファーソンとその愛人だったとされるサリー・ヘミングスの話から始まる。トマス・ジェファーソンとサリー・ヘミングスは実在の人物である。

サリー・ヘミングスはトマス・ジェファーソンが所有していた奴隷であったが、トマス・ジェファーソンの愛人であったという説がある。これは1974年歴史家フォーン・プロディによって有名となった説で、この件についてはその後の議論され、DNA鑑定も行われている。

この説が事実かどうかは不確かであるが、「Xのアーチ」ではこのトマスとサリーの愛と奴隷という立場が描かれている。

Xのアーチ
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Xのアーチのパラレルワールド

1787年、トマス・ジェファーソンはフランス駐在のアメリカ公使としてパリで暮らしていた。娘の付き人としてアメリカから呼び寄せたのがサリー・ヘミングスであった。

フランス革命前夜に、トマス(愛)を捨てて奴隷制度のないパリに残るか、奴隷としてアメリカへ戻るか選択に迫られる。自由を選ぶか、愛を選ぶかである。

1789年、フランス革命前夜、サリーはアメリカへ戻る。その選択は、個人だけではなく、世界も変えたかも知れない。アメリカへ戻るストーリーとは違う次元の、パリに残ることを選んだパラレルワールドが展開し、未来都市である永劫都市も出現する。

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Xのアーチの時空の裂け目

2000年になる直前に訪れる空白のXデーが発見される。ゲオルギーはアメリカの作家エリクソンが買った崩壊したベルリンの壁の欠片を奪い、アメリカでXデーを迎える。ドアを開けると、そこはパリ。そこにはトマスがいる。トマスはアメリカに帰国しなかったサリーを想っていた。ゲオルギーはベルリンの壁の欠片でトマスを殴り殺す。

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永劫都市

アメリカに戻った後の出来事。ある日、「トマスが選挙に当選した」という言葉を最後に姿を消した。サリーはトマスを探す。アメリカインディアンの村で目が覚めると永劫都市であった。隣に寝ていた男は死んでいた。永劫都市の警官ウェイド、マロニー、公文書庫のエッチャーらのストーリーが進んでいく。

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感想

主人公が変わりながらストーリーは進んでいくが、ほぼ全ては繋がると思う。どの主人公もサリーとの接点を持つ。1999年と2000年の間のXデーより、物語の最初に戻る。戻った先には違うストーリーが流れている。奴隷か自由か、読むのは面白いが、難解である。

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